うそつきは恋のはじまり
きみの全て

◆8.





「はい、じゃあ今日の授業はここまで。おつかれさまでした」

「ありがとうございましたー!」



一年の終わりが迫るある日の、夜19時。

駅から歩いて数分のところにある、大きな学習塾。小学生から高校生まで見られることと通り沿いにあるだけに、生徒数も多いこの塾の3階で、ホワイトボードの前に立つ俺はその声とともにテキストを閉じた。

目の前の席に座るのは、今日のクラスの生徒たち。小学4年生の子供たちだ。



「かなた先生さよーならー」

「さようなら、気をつけてね」



原彼方、18歳。現在大学1年。

大学に入学してからこの塾で講師としてのアルバイトを始めて、早8ヶ月。

そんなに沢山授業を受け持つわけでもないし、基本的に雑用も多い。けれどまぁ、高校生の頃にしていたコンビニのアルバイトよりは断然楽しくやりがいのある内容だと思う。

教師を目指す俺には、教えることを学べる環境でもあるし。



「ねぇねぇ、せんせー!」



ホワイトボードの文字を消していると呼ばれた『先生』の呼び名。

最初はなんだかくすぐったかったけれど、最近ようやく慣れたその呼び名に振り向くと、生徒である小学4年生の女児たちが鞄を手に嬉しそうに笑う。


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