重なり合う、ふたつの傷


通学は途中まで一緒に行って、学校の前で私が天野くんの少し後ろを歩いた。


周りに冷やかされたりしたくなかったから。変に誤解されて今の二人の関係を壊したくない。

ルミ以外の人には黙っておこう。


朝のホームルームが始まる前に姿勢を正して職員室へ行き、英語のプリントを無事に提出した。


でも、春日先生の私に対する評価はマイナスまで傾いてしまったと思う。

今後は身を引き締めて英語の授業を受けようと思います。


反省してからの日々は眩しいほど、輝いていた。


だけど、お風呂に入る度にお母さんを思い出した。


お母さんと会わなくてもこうして思い出してしまう。


もしこれが一生つきまとうなら、それはきっと地獄。


どうやら私は血液検査やレントゲンではわからない厄介なものをこじらせているようだ。




< 50 / 209 >

この作品をシェア

pagetop