重なり合う、ふたつの傷



ベッドの中で戯れ合う。

まるで二匹の猫のよう。

シーツという波間に浮かぶ三日月の船に乗り込んだ。


解き放たれた涙が波間を漂い、やがて海へと流れていった。


憧れていた腕枕に身を委ねる。

横を向くとピンク色に染まった私の頬に天野くんの腕が触れた。


天野くんは私の頬っぺたを「プリンみたい」と言った。


そして、私の頬と唇に何度もキスをした。



その後、リビングでアイスを食べた。

火照った体を冷ますように。


溶けはじめ、少し柔らかくなって、今が食べ頃。


私はバニラ。

天野くんはチョコ。

スプーンで交互に食べさせ合う。


「あのさ、俺、バニラしか食ってないんだけど」


「だね。私はチョコしか食べてない。交換」


私がチョコ。

天野くんがバニラ。

これなら交互に食べさせ合ってちょうどいい。




そしてまたひとつのベッドへ。繰り返される鼓動を聞きながら安心して眠りについた。




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