不器用な初恋~俺は君のことが好きだ~
RuRuRuRu
ん?誰
だ?
携帯を取り上げ
あっ!
「先輩」
『涼君、今日はありがとうね』
「い、いえ、こちらこそありがとうございました」
まさか先輩からだとは思わなかったから一瞬緊張して声が上擦った。
『陽菜ちゃんはどう?』
「アイツなら元気にお袋達に話をしてますよ」
『……』
ん?
「先輩?」
『あ、うん。陽菜ちゃん雅巳のこと』
「あ、話してません。もうアイツ忘れてるのかも」
陽菜は単純だから。
『それならいいんだけど…もし』
「先輩」
もしかしたら先輩も俺と同じことを気にしているのか?
いや先輩の方があの男のことが分かっている。
「陽菜に気をつけるように言います。もしアイツに会ったとしても相手にはするなと」
『うん。涼君』
「はい?」
『本当にごめんね。もし陽菜ちゃんに何かあったら』
先輩の声が沈んでいる。
「先輩が謝ることはないです。それより先輩の方こそ気をつけて下さい。またしつこく先輩に」
『うん、分かってる。それも考えた。 だから陽菜ちゃんのことが 』
「先輩、本当にアイツがしつこく言ってきたら俺に話して下さい 。今度こそ話をつけますから」
『涼君…ありがとう』
「先輩」
『(あ、はぁ~い)お母さんが呼んでるから。涼君切るわね』
「はい。おやすみなさい」
『おやすみなさい』
電話を切って、その日はもう眠った。