じゃあなんでキスしたんですか?


「森崎さん」 
 
自分でも驚くほど切羽詰った声が出た。 
 
何を言うか、決めていたわけじゃない。
 
ただ衝動的に名前を読んだだけ。
 
それなのに。

「どうした?」
 
振り返った森崎さんの表情がとてもやさしくて、あふれてしまう。



「好きです」
 

遠くに月が浮かんでる。
 
青白く、無表情な顔をして、わたしたちを見つめている。 


「森崎さんのことが、好きです」 






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