犯人は田中殺人事件【短編】
周りを見回し全員が思考停止に陥っているのを感じて、自分がこういった場面での探偵役をやらざるを得ないと悟った。

デキる人間にはいつだって責任ある役が回ってくるのは仕方がない事だ。

私はまずこの場にいる人物達を観察してみた。

まず死んでいるのは『1ヶ谷』氏。40代女性小太り。薄く化粧をし着衣に乱れはない。驚いたような表情のまま死んでいるのはナイフを刺されての即死だったせいかも知れない。

私から死体を挟んで反対側でプリンのようにプルプル震えているのは『2ノ宮』氏。20代男性で手足が枯れ枝のようにガリガリに痩せている。その無精ヒゲの若者が乙女のように内股で震えている。

次に『3鷹』氏。女子中学生。顔からは血の気が引いており今にも倒れそうだ。体型などは普通だが髪型は三つ編みにしたお下げを顔の両側に垂らしており、その上丸メガネをかけている。アダ名は委員長かタマちゃんに違いない。

さらに『4ツ谷』氏。高校生男子。明らかに体重は三桁はいっているであろう肥満体型で、髪型もボサボサなナリを見ると他人からどう見られるかに興味がないタイプかも知れない。

3鷹氏に引っ付かれても揺るがず立っているのは『5藤』氏。高校生女子。女性にしては高めの身長で長い髪をポニーテールにまとめている。何かスポーツでもやっていそうな健康美人で異性からはもとより同性にもモテそうなタイプだ。


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