Love Game



「瑞希、あの」

RuRuRuRu

漣の携帯が

「漣、出ないの?」

「ん、構わない」

その内に切れて

「よかったの?矢野さんとか」

「矢野さんじゃねえし」

発信者は確認してたのね。

「瑞希」

「うん?あ、サラダ食べてね」

「あ、ん」

RuRuRuRu

再び携帯が

「漣、出た方がいいよ。きっと急用なんだよ」

「急用なんかねえし」

RuRuRuRu

しつこく鳴り響く。

「漣、出てよ。なんなら私、お風呂に入って来るから」

此れだけ鳴ってるのに取らないのは私に聞かれたくないってことだよね。

きっと漣の両親か友達だよ。

「漣」

「分かった。だけど瑞希が気を遣うことないから」

携帯を取り上げて

「はい…あ、すみません。ちょっと手が離せなくて。えっ?あ、今帰って… いや無理ですから…はい…はぁ…」

汚れたお皿を持ってキッチンへ

そんな私を漣の目が追ってる。

携帯から漏れ聞こえてきた声はたぶん麻耶さん。

どおりで取らないわけだわ。

麻耶さんって漣の携番知ってるんだ。

事務所は違っても同じモデルだもんね。

広いように見えて狭いのがモデル業界。

一緒に仕事とかもしてるだろうし、仲がいいのも当然かも。



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