Love Game



コンコン!

「……」

コンコン!

あれ?

まだ来てないのかな。

「失礼します」

ドアを開け

まだ来てないのね。

メイク道具を用意して

ガチャッ!

「あ、おはようございます」

「瑞希さん、おはようございます。だいぶお待たせしたんじゃ」

「大丈夫ですよ」

漣と矢野さんが入って来て

私が先にいるのを見て矢野さんが恐縮然り。

「監督さん達との打ち合わせがあったので漣君の入りより早かっただけですから」

「瑞希さん、おはよう」

漣とも挨拶をして

「じゃあちょっと打ち合わせに行ってきます」

矢野さんが控室を出て行き

「じゃあメイク始めましょうか」

椅子を指し示すと

「れ、漣君」

その手を握られ抱き寄せられた。

「『漣君』じゃなく『漣』…今は2人 だけだから」

唇が重なった。

だ、駄目だよ。

身を捩り…唇が離れた。

「漣、何度言ったら分かるのよ!今は仕事中なんだから」

もし、もし誰かに… 本当に漣は危機感が薄い。

「大丈夫だって」

「大丈夫じゃないから」

「はぁ~マジに瑞希冷たい」

わざとらしく項垂れてるし。

「はいはい。冷たくて結構です。メイクしますよ」

無理矢理に座らせて下地から整えていく。

「約束覚えてるよな」

「……」

「瑞希」

「ちゃんと私に仕事をさせてくれたらね。またちょっかい出すと約束は反古にしますから」

「マジ?」

「マジです」

鏡越しに視線が絡まる。

「ふぅ~了解しました」

「うん」

本当に漣は甘えただ。

こんな甘ったれだと誰も知らないだろうな。

それだけ心許してくれているんだけど…


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