Love Game


時計を見て… まだ早い。

今なら由布子先生、家にいるかも。

――



「由布子先生」

『瑞希』

呼び出し音が一回鳴るか鳴らないうちに

『大丈夫』

「先生、すみません。すみません」

『謝ることは何もないから』

「先生」

由布子先生の声はいつもと変わらず優しくて…抑えていた感情が流れ出す。

「せ、先生…」

『泣かないの。確りしなさい』

「……」

『貴女はパリでゆっくりしてなさい。 まだお休みなんだから』

「せ、先生…私…辞めさせて」

迷惑ばかりかけて先生の仕事にも支障がでたら…

『なに馬鹿なことを言ってんのよ!貴女は絵梨香ちゃんと漣君の専属でしょう』

「先生…もう漣の専属は」

『向こうから断ってきたなら仕方ない けどそうじゃないでしょ?』

でも時間の問題だと思う。

いくら漣や矢野さんが庇ってくれたとしても社長達にしたら許せるはずがない。

「こちらから謝ってお断りを入れるのが筋道だと思います」

『瑞希、貴女はなにも悪いことを』

「漣はこれから俳優として大きくなっていくんです。スキャンダルなんてタブーなんです。だから先生…」

私の思いを話して…

でも先生は中々聞き入れてくれず。

でも私の意志が固いと知り

『仕方ないわね』

「すみません」

『暫く休養なさい』

「……」

『辞めるのは認めないから』

「先生」

『明日、ちゃんと絵梨香ちゃんを飛行機に乗せるのよ』

「はい」

『連絡は入れること』

「はい。すみません」

電話を切ってベッドに倒れ込んだ。



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