㈱恋人屋 TWICE!
「気が早いな、紗姫も。まだ性別も分かんないだろ?」
「でも、私の中ではこの子は女の子だって決まってるの。」
「何だよそれ…。」
「だから、考えようよ。ね?」
「お、おう…。」
「その前に、一回離れて。ちょっと苦しい…。」

その後、私達は案を出し合った。

「じゃあ、私達の名前から一文字ずつ取って『紗月』とかは?」
「何かむりやり感が…。」
「何よ、何か言った?」
「はぁ…。考えようよ、とか言っときながら、結局俺の考えた奴全部没になってんじゃん。」
「それは菜月くんが悪いんでしょ~?」
「全く…。」

やれやれ、勝手な女だ。名前は、また性別が決まってから考えるとしよう。

こんな話をしていたら、もう夜か朝か分からないような時間になっていた。

「明日…っていうか今日さ。」
「何?」
「私…ちゃんと、会社行けるよね?」
「今更何言ってんだ?」
「何か…不安になって来た。」

あんな話聞いたら、誰でも不安になる。そのくらい、分かっていて欲しかった。

「紗姫に限って、首が飛ぶことはないと思う。だって、あの時の紗姫、強かったじゃん。それに懲りていても懲りていなくても、どっちにしろ紗姫ならワンパンだろ。」
「…ありがと。」

不安が嘘のように飛んで行った。菜月くんに言われると、それが私にとって一番正しいことのように聞こえる。

…それが裏目に出る時が来るなんて、考えてもみなかった…。
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