俺様上司とツンデレ部下


「…呼んだか?」


「⁉︎」


なっ⁉︎


驚いて、慌てて振り返ると、そこにいたのは紛れもない伸也さんだった。


「な、なんでここに…。」


「はっ…そりゃー探すだろう?嫁なんだから…。」


息苦しそうにそう言い捨てる彼。

もしかして知らない土地を走り回ってくれたの?


「伸也さん…ごめんね…。」


「ん?…いや、俺も悪かった…。」


よしよしと、私を抱きしめて頭を撫でてくれる伸也さん。

その手がたまらなく愛しい。


「俺さ…楽しんでなかったわけじゃないんだよ。」


「へ?」


突然、伸也さんは言いにくそうに眉を寄せて、話し出した。


「その…恵が可愛過ぎるから、早くホテルに行きたかったって言うか…。」


「え?」


「だからっ‼︎恵を外に出したくなかったんだよっ‼︎言わせんな…。」


ブワッ。


一気に頬が熱くなって、私の体は沸騰状態。


(まさか…伸也さんがそんなこと考えてたなんて…。)


「ふふ…。」


可笑しくてつい笑みがこぼれる。
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