私の師匠は沖田総司です【上】
急いでお金を払い、男性の後を追って店の外に飛び出した。すぐ近くに男性がスタスタと歩く姿がある。

少しぐらい待ってくれてもいいと思うのは、私だけだろうか。いや、もしかしたらこの時代では待つという考えはないのか。

それともただ単にこの人が冷たいだけ?

男性の隣に追いついた私はチラッと顔を見た。すると運悪く目が合ってしまう。

「アンタはよく、俺の顔を見るな。言いたいことがあるならハッキリ言ったらどうだ」

「いえ、別に言いたいことはありませんけど……」

「だったら前を見て歩け。よそ見をしていると、通行人とぶつかるかもしれないだろ」

「はい……」

なんだか気まずい雰囲気が流れてしまい、それ以降会話ができなくなってしまった。

ひたすら男性の隣を歩く。男性も無言のまま歩き続ける。

二人の間には重い空気が纏わりつき、まるで拷問のような息苦しさだった。

早く屯所に着いてほしい……そう思っていると一つの建物に辿り着いた。

男性は無言のままその中へと入って行く。

え……何これ。私、どうしたらいいの。勝手に入っちゃっていいのかな。

門の前をウロウロしていると、背後から「おい」と声を掛けられた。
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