私の師匠は沖田総司です【上】
私は男の攻撃を躱し、急所に向かって一気に刀を振ると男は地面に倒れた。

男の体は蛍の様な淡い光に包まれ、そして消えていく。

私は男が完全に消えるまでそこから目を離さなかった。

目を離したら、男を殺した罪を完全に背負えなくなると思ったから。

おそらくこの夢は、私が人の命を奪う罪を背負う覚悟を試すものなんだ。

この時代で生きる為に必要な試練。

人の命奪う覚悟と罪を背負う覚悟を試す試練。

もし私がそれらの覚悟ができていなかったら、夢のように大切な人が、次々といなくなるという暗示だったのかもしれない。

でも、そのために私は男を二度殺してしまった。

だから、せめてこれ以上、苦しまないように夢の男は急所を一撃でつきました。

私は師匠の刀を見る。

もしかしたら、これが私の剣なのかもしれない。

相手を苦しめず、一撃で倒す剣。

組長と同じ……。

師匠の刀を鞘に収め、目を閉じたら現実の世界に戻っていました。

部屋の外に出て空気を胸一杯に吸い込む。

「よしっ、もう大丈夫」

この動乱の時代で生きる覚悟はできた。

私はもう迷わない。

これからは様々な覚悟を胸に刀を振るい、組長や大切な人を護る。
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