私の師匠は沖田総司です【上】
師匠、1番隊の皆さんは大丈夫ですか?
龍馬さんに別れを告げた次の日。

私は縁側に座り、空を眺めていました。

すでに私は罪悪感で胸が押し潰されそうです。

頭の中は龍馬さんのことで一杯で、何もやる気が起きない。

「……さん」

今日、何か大切なことがあった気がするけど、何でしたっけ?

思い出せないってことは、大したことではありませんね。

気分が重いせいか、なんとなく体も怠いです。

土方さんに言って、今日だけ女中の仕事を休ませてもらおうかな。

「天……さん」

でも、女中の仕事を休んだら井上さんに迷惑を掛けてしまう。

ほら、新選組内でまともな料理ができるのは、私と井上さんだけですからね。

井上さん以外の隊士が料理を作ると、食べ物じゃなくて有害物質ができます。

有害物質じゃ生温いな。あれはダークマターだ。

新選組の皆さんは食べ物をダークマターに変える錬金術師ですからね。

「あ~ま~み~や~さ~~ん」

私が手伝うようになってから、井上さんも料理が楽になったと喜んでくれるし、やっぱり女中の仕事はちゃんとしよう。

それに、井上さんと一緒に料理を作った方が、組長の身体にいい献立も作れますからね。

それじゃ、仕事を始めますか。

と、思って立ち上がった瞬間

「天宮っ、ぐふっ!!」

「ぎゃん!!」

頭に何かが当たった!?何っ!?何事!?

痛む頭を手で押さえてキョロキョロ辺りを見回すと、顎を押さえながら廊下に蹲る組長の姿がありました。
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