私の師匠は沖田総司です【上】
井戸へ行き、冷たい水で顔を洗っていました。

「ひっく、うっ……」

さっきからどうしても涙が溢れてきて、止めようにも止めることができません。

自分の意思とは関係なく涙が出てきます。

分かっていました。組長が私を疑ってることなんて、最初から。

でも、言葉にしてハッキリ言われるとやっぱり辛いです。

心が握り潰されるように痛い……。

「天宮、ここにいたのか。そろそろ稽古の時間だ」

「斎藤さん……。はい、すぐに行きます」

今日は3番隊に仮入隊しています。昼休みが終わっても稽古に来ない私を心配して、迎えに来てくれたのかもしれません。

急いで涙を止めないと。

袖で顔を拭いていると、腕を掴まれていました。

腕を掴んだのは斎藤さんです。そして私の目を覗き込んできました。

「目が赤い。泣いていたのか?」

「泣いてないです。ただ、ちょっと目にゴミが入っただけですので、気にしないでください」

「……そうか。では、顔を拭いたらすぐに刀を持って、壬生寺の境内に来い」

「はい、分かりました」

斎藤さんの後ろ姿を見送った後、すぐに部屋に戻り、師匠の刀を腰に差しました。

壬生寺へ行くと、すでに3番隊の隊士が全員集まっていました。

どうやら私が最後のようです。
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