私の師匠は沖田総司です【上】
「土方さん、天宮です。入ってもよろしいでしょうか」

「入って良いぞ」

「失礼します」

朝食後すぐに、私は土方さんの部屋へ訪れました。土方さんはお仕事中だったのか、眼鏡を掛けています。

「どうした」

「今日、町に行こうかと思いまして、その許可を貰いに来ました」

「町に行って何をするんだ?」

「それは、もちろん買い物を……」

「金はあるのか?」

「……」

実を言うと、お金は殆ど持ってません。師匠から頂いたお金はすでに底を尽きそうです。

すると土方さんが溜息を吐きました。

そして文机から何かを取り出しました。

「ほら」

「ありがとうございます」

手渡されたのは布の袋でした。ずっしりと重量があります。

中を見るとお金が入っていました。

「あの、これは……?」

「俺と近藤さん、後山南さんからだ」

「え!?どうしてですか?私、隊士として何もしていませんよ!こんなに沢山受け取れません!」

すると、土方さんはまた溜息を吐きました。

「それはここ一週間のおまえの働き分だ」

「だから私はっ……!」

「おまえ、朝から道場の掃除をしたり、朝食の手伝いや洗濯物を干したりしてんだろ?斎藤と井上さんが言ってたんだ。

それはちゃんとおまえが働いて稼いだ金だ。だから臆せず使え」
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