初めての恋はあなたと。 「その後」を追加しました
「…私って分かりやすいですか?」

「どうだろう…見る人にもよるけど俺は分かりやすいと思うかな」


少し困った笑顔で北野課長は言った。

分かりやすい…もしかして既に江崎課長にばれてたりする?
その可能性は大いにある。


「特に今日なんかはそうだね。いつもと少し雰囲気が違うし」


確かにそうかも。
今日の夜は例の江崎課長と会うのである。
あの後、江崎課長から連絡が来て駅前のイタリアンレストランを予約したから、そこで食事でも、という風に誘われたのだ。

江崎課長との食事なんか初めてだし、しかもイタリアンで調べると大人な感じの店だった。

いつも通りの服装では恥ずかしいので、由依にも協力してもらい、少し大人の雰囲気を出すよう心がけたのだ。

それがまさかこんな風にばれる材料になるとは。


「楽しんでおいでね」


北野課長はそれ以上詮索することもなく、柔らかく微笑んでフロアを出て行った。

私はというと北野課長以外にばれないようにはどうしたらいいか、真剣に考えていた。
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