初めての恋はあなたと。 「その後」を追加しました
しかしいつまでも泣いていても意味はない。

江崎課長に聞くことできっと私は傷つくだろう。
それでも聞いてもらえるのならば、言ってしまったほうが楽になれるかもしれない。

ダメだったら…由依に慰めてもらおう。
いつもあの子の愚痴は聞いてるもん、私のことも聞いてもらわなきゃ公平じゃないよね。

少し落ち着いた私はそんなことを思った。


ぐっと流れる涙を抑えて呼吸を整える。
こんな機会、もうないかもしれない。

だから冷静に、そして素直になって言おう。


「江崎課長は…無理をしていませんか?」

「え?」

「じ、自分の気持ちに嘘をつくのはダメだと思います」


ふっと顔を上げてみると、江崎課長は心底意味の分からないって顔をしていた。

一瞬戸惑ったものの、私はそのまま続けた。


「確かに言ってしまったことは取り消しには出来ないけど…でも気持ちが違う方向に向いているのを見ているのはつらいし…その、他に好きな人がいるならば――――」


「ちょ、待った」


珍しく焦った江崎課長が手を伸ばして私を止めた。
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