南柯と胡蝶の夢物語
濁花の子供は、身体が大きく損傷すると顔から皮膚を突き破り、濁花が芽生える。
濁花はそうやって子孫を残すのだ。
生殖まで人間に寄生して、それは命のリレーをしている。
その花弁を人間からむしり取り、商売するのもまた人間だ。
むしり取られた濁花の花はその額から、三日でまた綺麗な花を咲かせる。
寄生させてもらうお礼だとでも言うのだろうか、濁花は寄生主に人間の部位をもうひとつ与える。
皮膚を破って花を咲かせる際に、肩や背中、脚などに、目や鼻や口を新しく作るのだ。
全てしっかり機能するものなのだが、顔から花を咲かせ奇妙な所に顔のパーツが着いている人間というのは、不気味以外の何物でもなかった。
世界的に濁花の摂取は禁止されたが、それでも違法に売り買いを続ける人々によって確実に濁花は繁栄しているのであった。
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