たかしと父さん
再び10代だったころ
入学式のあとのクラス分けで僕はとんでもないものを目にした。隣に座った女子が美少女だった。冒頭であれだけ「女子高生のステレオタイプが美少女であることを指摘していた」僕がだ!彼女は僕の理想が立って歩いて息をしているようだ。もしかすると、これは僕の妄想が作り出した人造物・・・ロボットか何かじゃないかと・・・実は喋る機能はついていないんじゃないかと、そう思った。そう思ってどきどきして横目でちらちら見ていたら、大事件が起きた。前の方に座った氷川という男子がとにかく座高が高く、その後ろの席のやつが前が見えないと言い出した。しかも、氷川は体全体デカいので机のサイズまであわない。そこで、急遽、最後尾の近視のやつと氷川の席を変えることになったのだ。

「まあ、ちゃんとした席は明日にでも決めるから、今日のところはこれで勘弁してくれ。」

体育教師にしか見えないが歴史が専門だという担任がどこかから氷川が使えるサイズの机を持ってきた。それが大事件のきっかけだった。席替えと机の移動で手間取ったタイミングで、隣の席の美少女が(移動する机を避ける為に)僕の方に急接近してきたのだ。隣の彼女を横目でちらちらと隙を伺いつつ見ていただけの僕は、あろうことか見ていたはずの彼女のその接近に気づかず、あるタイミングでちらっと横を見たら少女の顔は僕の顔の数センチメートルまで迫っていたのだ!そもそも、隣に美少女がいることだけで充分に混乱しかけていた僕は、周りのごたごたに関心がない顔をすることで平静を保っていた。そして上記の理由で、彼女の瞳を・・・そのデカくて美しい瞳を数センチメートルの距離でモロに覗き込んでしまって固まった。何なら彼女の瞳に映った僕の顔もちょっとみえた。多分、彼女は突発的に・・・かつ反射的に動いたため僕の目の前にいながらピントが合っていない感じで、どこか明後日の方を見ていた気はしたが・・・

まあそういうわけで、その日、それから一日何をしていたのか全く思い出せない。覚えているのは翌日、発熱して休んだということだけだ。その日から僕はずっと篠宮さんの事が好きだった。ずっとだ。
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