君の名を呼んで
「君の覚悟を見せて下さい。雪姫のために」


桜里の言葉は厳しいのに、彼の視線は穏やかで。
何だかその瞳にもっと深い意味を込められているような気がして。
違和感に気付けばふと、言葉の真意が掴めそうな気がして、私は桜里を見た。

その目が合うーー。


「愛してるよ、雪姫」


桜里が不意にそんなことを言った。

咄嗟に私は息を吞んでしまって、それに反応することが出来ずに。
ギリ、と歯を食いしばる音がして、皇が私を抱き寄せる。


「誰がてめえにやるか。
言われなくても、俺にだって覚悟くらいある」


肩を掴む手が熱くて、込められた力の強さに眩暈がした。
皇が私に向けてくれる想いが痛くて——嬉しくて。


「なら、それを見せてもらいましょうか」


桜里が深く深く微笑んでそう言えば、皇は私を真剣な目で見つめていたーー。
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