君の名を呼んで
「鈍感女を落としたら、もう一度、言いに行く。待ってろよ」


え?


「せいぜい、頑張ることです」


桜里は深く微笑んで、手を振って去って行った。
残された私は、今のやり取りを頭の中で反芻して。

ちょっと、待って。
ねえ、今の。

意味を問いたくて、彼を見上げたけれど。


「あ、あの、皇……?」


皇がじっと私を見つめて、その手が私の手を握りしめた。

いくら私が鈍感女でもさすがにわかる。
もう一度、言いに行くって、それは。


『娘さんをください』


皇。


笑っちゃうよ。
あなたらしくない。


けど、
泣きたくなるほど、嬉しいの。
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