君の名を呼んで
携帯でネットのニュースを見ていたすずが声をあげる。

「あ、桜里さんだ。モデルのレナさんとパリでショーだって。すごいな~」

後ろから覗き込んだなら、確かにそこに写っているのは彼の姿だった。

城ノ内副社長がモデルだったときの仲間で、医師の冴木先生の姉だというレナさんとは、もうひとつ繋がりを持っていた。
なんでも桜里とは以前からよく仕事を一緒にしていて、今回もかなり前からエアリエル日本進出のために協力してくれていたのだとか。
世間は狭い。

「レナさんはスーパーモデルだし、女優としても凄いし、羨ましい!きっとあたしみたいにクマなんて作らないんだろうな」

そう言ったすずに、新城さんが苦笑した。


「レナも普通の子よ。笑ったり泣いたり喚いたり、ただ人より努力してるだけ」

その言葉に親しさを感じて彼を見る。

「高校の同級生なの。ずっと親友。
だから知ってる。レナが陰でどれだけ努力してるか。それを誰にも見せないようにしてるかも」


新城さんの目は優しくて。
撮影所で会った彼女を思い出した。
華やかで、自信に溢れてて。
でもそれは、彼女が選んできた道に誇りを持っているからだろう。
弱さを隠して。

城ノ内副社長に、似てるな。
努力を知られたく無い、誰より真っ直ぐに立つ姿。


……って、何もかも、皇が基準になってしまっている自分に苦笑する。
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