君の名を呼んで
ep.2 スーパーモデルと秘書の会話

***


秘書「オーリ、もうすぐお嬢様とフィアンセがいらっしゃいますよ。とうとう結婚の挨拶ですか」
桜里「うふふ、あんな鬼畜変態男に誰が大事な娘を渡すものか。急病で会えなくなったとでも言いなさい」
秘書「その手はすでに二回ほど雪姫様から『嘘つき!』とお叱りを受けております」
桜里「なら僕の銃を誰か持ってきて今すぐ」
秘書「あなたが先週メンテナンスに出したじゃないですか」
桜里「チッ、城ノ内君が予定を繰り上げたりしなければ、万全な銃が間に合ったものを。やはりあれでしょうか、野生の勘」
秘書「……」
桜里「……まさか君、情報をリークしたりしてませんよね」
秘書「恥ずかしながら私、雪姫様の主演二作目『メルヘン魔女ッ子 ユキちゃん』の大ファンでして」
桜里「……それ僕でさえ初めて聞いた出演作なんですが」
秘書「『悪い子はお仕置きしちゃうぞ★』の決め台詞と引き換えに情報を提供致しました」
桜里「何ですそのカミングアウトは。僕の愛する娘に何させてやがるんですか、この阿呆。誰か!銃貸せ!大体あの鬼畜男がそんな真似……」
秘書「城ノ内様なら、恥ずかしがる雪姫様をそれはもう悦に入った顔でバッチリ録画していらっしゃいましたが」
桜里「城ノ内、コロス……!!」




親バカは健在。
end.
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