Call my name
あたしと過去


「あんたなんか生むんじゃなかった」

「間違えてできちゃった子なんだから」

「泣くんじゃないよ! うるさいね」

 愛なんて知らなかった。  

 欲しいとすら思わない。だって存在すらわかんなかったから。

 あたしはただ、空気になる。

 だってそうしなきゃ殴られる。煙草の火を押し付けられる。ご飯だってもらえない。



 それがあたしの生きる術。






「神永ってクサいよな」

「文ちゃんケガいっぱいしてるう」

「あいつ全然喋んないじゃん」

「気色悪う」

 学校でもいじめの標的だった。

 あたしは何も疑わなかった。だってあたしは虐げられるために生まれてきたのだから。


 あたしはいらない子。


 あたしは空気。


 あたしは生きてちゃいけない。
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