双龍の花嫁
突然、山賊と村人の間に女剣士が割って入った。

あまりにも自然な行動に、その場にいた全員があっけにとられていた。

「村長はどなた?」

「わ、わしが村長じゃが…」

女剣士は村長を確認して、前まで歩み寄った。

「お取り込み中申し訳ないんだけど、泊まるとこ探してるの。今日、この村のどこかに泊めてくださる?」

この人は周りの状況が理解できてるんだろうか?

村長を含め、村人全員がそう思ったに違いない。

頭に石を投げた少女も目を丸くして女剣士を見つめる。

「こらぁ!お前何もんだ!?」

頭がはっとしたように言った。

「どうなの?泊めてもらえないのかしら?」

女剣士は村長が返答しかねてるのを見てもう一度聞く。

「無視すんな!」

「うるさいわね、今村長さんと話してるの」

女剣士は不機嫌そうに頭に顔だけ振り向く。

「てめえ、いい度胸だ、おめえら!やっちまえ!」

ついに頭は山賊達に攻撃命令を出した。

「へ、へいぃ!」

山賊達も少し面食らった感じで、女剣士に襲いかかる。

「ふぅ、ほんとに気が短いんだから」

女剣士は太刀に柄に手をかける。

「村長さん、あなたたちは邪魔にならないところまで下がってて」

「は、はいい!みなしゅう、家へ逃げろう!」

村長がそう言うと、外に出て様子を見ていた村人が一斉に家へと飛び込み、鍵をかける。

「テレサもきなさい!」

少女も村長に手をひかれて家へと駆け込んだ。

しかし、その視線は女剣士から離れることはなかった。

外から来た珍客は、少女の興味を惹き付けてやまなかった。
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