冷徹御曹司は政略妻の初めてを奪う





私は、病室にしては広すぎるこの特別室にいる顔ぶれを、順に見回した。

彩也子さんと、以前紹介されたことがある、父さんの職場の部長さん。

長身で恰幅のいい部長さんは、人の良さそうな目元を私に向けると軽く会釈してくれた。

それでも、口元には緊張感が浮かんでいて彩也子さん同様、悔しげに結ばれている。

どうしてこの場に部長さんがいるのかと疑問に思いながらも、上司だから連絡をもらって駆けつけてくれたのかなと、とりあえず納得する。

そして、父さんの警護を担当している男性が一人。

病室の外にも数人、それらしき人が立っていた。

父さんには、24時間の警護がつけられている。

特に、私が誘拐されそうになったあの事件以来、父さんの警護は強化されたと聞いている。

あとは、私のすぐ後ろで私を守るように立っている紬さんと、何故か茅人さんだ。

その顔ぶれのアンバアランスさに首をかしげながら、私の心は不安に揺れていた。




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