やさしい手のひら・後編
真実
あれから私は毎日凌の病院に顔を出していた

新くんとは毎日連絡を取り、仕事が休みの日や早く終わった日には必ず会っていた

「凌、なんか食べたい物ない?」

入院してから2週間

2、3日前から凌の様子がおかしいことが気になっていた

「なあ?」

「うん?何?なんか食べたい物あった?」

「俺さ・・・」

「うん?」

「やっぱいい」

凌は何かを私に聞こうとしている・・・

足のことだろうか

私は誤魔化すために

「売店行って来るね」

病室を飛び出した

心臓がドキドキしている。感付いてるのかもしれない

凌はきっと足のことおかしいと思っているに違いない

私は唇を噛み締め、拳を握って歩いていた

頭で理解しているつもりでも凌の足のことはやっぱり信じられない

私でさえこんな気持ちなのに本人がこのことを知ってしまったら・・・

生きる希望をなくしてしまうかもしれない・・・

でも私がこんなんじゃいけない

凌を支えると決めたから・・・

凌が苦しんだら背中をさすってあげたい

凌が躓いたら手を差し伸べてあげたい

私は前を向き、もう一度拳を握り締め一人頷き歩き出した



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