やさしい手のひら・後編
偶然
入院3日目で私は退院した

後ろを振り向かず、強い気持ちで毎日を過ごしていた

短大にもちゃんと行き、保育士への夢を希望に勉強も頑張っていた

♪♪♪~

短大の帰り、由里からメールが入った

『みんなで集まろう!』

みんなって・・・?

私は誰を誘うつもりなのか由里に聞いた

『本郷と私』

凌?

凌、元気なのかな・・・

この前偶然に会った時、冷たくしてしまった

意地を張って強がって、凌を避けてしまった

由里にはわかったよとメールをし、行く日が決まったら連絡するということだった

季節はもう秋・・・

いつの間にか緑の葉が黄色から赤に変わってきていた

木々も生きているんだね

命ある限りみんな生きている。私は風になびく葉を立ち止まりずっと見ていた

目を瞑ると葉が風で擦れる音が聞こえる

それがとても私を落ち着かせてくれた

「よし、頑張ろう」

私は一人で頷き自分のマンションへ向かった

そんな姿を車の中から健太が見ていたことも知らずに・・・
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