夏恋
自転車を家の脇に止めた裕也は真っ直ぐ家に入っていった。
ガチャ
「ただいま…」
家に入るとやけにリビングが賑やかに感じた。それに見慣れない靴が二人分… 客かな?
裕也はリビングに寄らず真っ直ぐ階段を上って自室に向かおうとした時。「裕也~、帰ったの?お客様に挨拶して!」
母親の声が。裕也は不思議に思いながらリビングの扉を開けた…。
「あら!ゆう君!久しぶり~! うそ!こんなに大きくなったの~?!」
椅子に座ってビールで赤い顔をしてこちらに手を振ってるのは…彩のお母さん? となりにはお父さんも?
「あれ?おじさんにおばさん? どうして?」
「ぉお~、ゆう君、覚えててくれたか!」
すると裕也の母親が新しいビールを出しながら、「裕也には黙ってたけどね~、今度菊池さん、またお隣に戻ってきたのよ!」
「そうなの~、よろしくね!」
裕也は突然のことに絶句していた。まさに予想外だった。裕也は軽く世間話を交わした後、彩の姿を探す。それを見た彩の母親が
「あ! ゆう君には申し訳ないけど、彩、向こうの学校で送別会があるとかで遅れて来るらしいのよ!ごめんね」
「いえ、別に…全然」
裕也は安心と同時に緊張していた。彩ちゃんが来る。後少ししたら。高鳴る胸は何なのか? 裕也にはそれがただの幼なじみの久しぶりの再会のせいだとしか思わなかった。
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