光のもとでⅡ
 席に置いていた一眼レフを手に取り、観覧席最前列の手すり間際でカメラを構える。
「御園生さん、撮る気満々?」
 風間先輩の笑い声に振り返る。と、その隣には飛翔くんもいた。
「返り討ちに遭うんじゃなかった?」
 鼻で笑っているふうの飛翔くんに思わず自慢をしたくなる。
「色々あって、交換条件なしで撮影許可が下りたの!」
 さほどおかしな返答をした覚えはなかった。けれど、その場にいた組の人たちに笑われてしまう。
 笑われた理由を考えていると、
「御園生さんと藤宮の関係っていまいち理解できねぇ……。写真ひとつで返り討ちとか交換条件とか、なんか違うだろそれ」
 風間先輩はそう言うけれど、ならばどういう関係が彼氏彼女、恋人なのだろう。
 自分が知るカップルを思い浮かべてみるも、答えらしい答えは見つからない。
 ただ、「写真」というものを前にしたとき、「交換条件」というキーワードが浮上するのは私とツカサのほかにはいない気がした。
 思考の魔手が手当たりしだい伸びる寸前、意識をカメラへ無理やり戻す。
 普段人を撮ることがないため、試し撮りを試みるもどうにもぶれる。笑えないほどにぶれる。
 躍動感溢れる写真とか手振れがどうのという次元ではなく、写っている人の目鼻口がどこかすらわからないような写真ばかりが撮れる。
 まさに、被写体が動くゆえの現象。
「シャッタースピードを優先にしているのにどうして……?」
 しばらくはその状態で試し撮りをしていたけれど、埒が明かないので別の手段を講じることにした。
 メニュー画面から連写モードを選択する。
 このモードは、シャッターを押している間中連写されるというもの。
 試しにシャッターを押してみると、すごい勢いで連写が始まった。
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