光のもとでⅡ
それぞれのクリスマス

クリスマスの企み Side 飛鳥 01話

 いつもならみんなで食べるお昼休み――私は翠葉に呼び出されて屋上へ続く階段なんて密会にぴったりな場所でお弁当を広げていた。
「相談って何? 恋バナ!?」
 でも、恋バナなら桃華も一緒に呼び出しそうなものだ。
 いったいなんだろう?
 じっと翠葉の顔を見ていると、
「あのね、飛鳥ちゃんのおうちで開くクリスマスパーティーなのだけど、何人くらい集まるのかな?」
 へ? クリスマスパーティー?
「そうだなぁ……私と飛翔、飛竜の友達を合わせて三十人くらいかな? でも、それがどうかした? あ、知らない人がいると緊張するとかそういう話?」
「ううん、違うの。実は、私も呼びたい人たちがいて……」
「誰?」
「生徒会メンバーと茜先輩、久先輩、それから元一年B組のクラスメイト」
 追加される人数に面食らう。
「翠葉、さすがにその人数はうちに入んないよ。三十人でいっぱいいっぱい」
「だとしたら、会場を変えるのはありかな?」
 翠葉はうかがうような目で私を見ていた。
「違う場所ってこと?」
「うん。マンションの多目的ホールを借りれば二〇〇人は収容できるし、ダンスするスペースも取れる。ひとり千円くらいの会費をもらえれば、会場の飾りつけから立食パーティーの食べ物関連もコンシェルジュにお願いできるのだけど……。やっぱり、会費とかとったら参加率下がっちゃう?」
「会費のことは心配しなくて大丈夫! うちでやるときも、ひとり千円の会費もらってたから。でも今回は人数多いから、会費は海斗と千里に集めさせよう! あのふたりならサクサク回収してきてくれるよ! そっかー、ダンスかー! ってことは正装?」
「うん。どうだろう?」
「全然いいでしょ! っていうか正装でパーティーとか、なんかわくわくしちゃうね! ドレスを持ってない人がいたら、マリアージュで貸し出しできないか、お母さんたちに相談してみる」
「わ、助かる!」
「その代わり、翠葉には会場の用意を任せてもいい?」
「もちろん! 会場とは別に、更衣室になる部屋を二部屋用意すれば、みんなにそこで着替えてもらえるし、鍵をかけられるロッカールームもあるみたいなの」
「いいじゃんいいじゃん!」
「それとね……」
 翠葉は言いづらそうに言葉を続ける。
「日にちなのだけど……二十四日じゃないとだめかな?」
「……二十四日じゃまずいの?」
「えぇと……身内事情で申し訳ないのだけど、蒼兄が参加できるとしたら二十三日の祝日なの」
 なるほど。これは蒼樹さんと桃華を踊らせてあげたいってことかな?
 翠葉らしい気遣いに、ついつい笑みが漏れる。
「桃華と蒼樹さんにダンスを踊らせてあげたいんだ?」
 翠葉はコクリと頷いた。
「じゃ、早いうちに日程の通達しちゃおう! まだ十一月頭だし、今のうちから知らせておけば大丈夫じゃないかな? それと、二〇〇人まで収容可能なら、蒼樹さんの参加が異質にならないように、各自パートナーを連れてきていいことにしない?」
「うんっ!」
「じゃ、あとは時間かな?」
「いつもは何時から何時だったの?」
「だいたいお昼前から夕方四時くらいまで。そのあとも時間が大丈夫な人たちは、千里んちのカラオケになだれ込む感じ」
「今年もそれで大丈夫かな?」
「うん、カラオケに関しては千里に頼んじゃおう」
 そんな会話の末、私たちはクリスマスパーティーの概要を盛り込んだメールを作成し、関係者にメールを送って昼休みを終えた。
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