光のもとでⅡ
 おじいちゃんが訊くと、
「はい、去年の秋に取りました」
「なら、これからは翠葉を連れてちょくちょく遊びに来い。平日は仕事でいないが、土日ならいるから。零樹に言っても蒼樹に言っても全く当てにならないからな」
 お父さんと蒼兄は肩を竦めて苦笑を漏らし、唯兄はクスクスと笑いだす。
「了解です。リィを連れてきます」
「そのときはまたつまみを作ってくれ」
 どうやら、唯兄がキッチンを借りて作った即席おつまみがとても気に入ったらしい。
「今度は私にも作り方を教えてね」
 おばあちゃんがそっと唯兄の肩に手を添える。
「はい。次はご飯作りに来ます」
 唯兄のはにかんだ笑顔がとてもかわいく見えた。
 幸倉の家に帰ってくると、唯兄はシャワーも浴びず夕飯も食べずに寝てしまった。
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