光のもとでⅡ
 結構真面目な見解だったのだけど、リィと佳苗さんの笑いのツボをつついてしまった模様。ふたりはおかしそうにクスクスケタケタ笑っていた。
「さ、居間へ行きましょう? みんな美味しいお酒をお預け食らって待ってるのよ」
「えっ? 飲んでないんですか?」
「えぇ。おつまみを作ってもらっているのに先に飲めるか、って酒瓶抱えてるわ」
「それはそれは早く行かねば……」
「緊張してても何をしてても、人は向き合わないと前には進めないのよ」
 佳苗さんに背を押されてそう言われた。
 あぁ――この人は零樹さんのお母さんだ……。
 そんなことをしみじみと思った。

 居間へ行くと、本当に大樹さんが酒瓶を抱えて待っていた。
「唯、ここにおいで」
 零樹さんに呼ばれて大樹さんの隣に座ることになる。と、ピッカピカに磨かれた、青味がかった切子グラスを渡され酒を注がれた。俺の次は碧さん、あんちゃん、そして佳苗さん。最後に自分のグラスに注ごうとしていたところで待ったをかけた。
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