光のもとでⅡ
「今日はいつも以上にきれいだね。赤い紅がよく似合ってる」
「秋斗さん、こんにちは。あの……口紅、本当に似合ってますか?」
「とってもよく似合ってるよ。ショーケースに入れてずっと見ていたいくらい」
「それは褒めすぎです……」
「真白さん、じーさん、翠葉ちゃんを借りてもいいかな? 少し庭園を連れて歩きたいんだけど」
「かまわぬ。お嬢さんに失礼のないようにの」
「わかってる。翠葉ちゃん、行こう」
 秋斗さんに差し出された手を取っていいのかに悩む。エスコートはツカサがしてくれると言っていた。けれども、この場にもツカサはいない。
「翠葉ちゃん、今はこの手を取って?」
 少し声のトーンを落した秋斗さんに言われ、何かあるのか、とその手を取り立ち上がる。
「もういっそのことだから、俺が翠葉ちゃんに求婚していることもばらしちゃえばいいと思ってね」
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