光のもとでⅡ
「あ、秋斗さんっ、キス禁止っっっ」
 キスをされた頬を右手で隠して後ずさる。と、
「秋斗、いい加減にしろよ?」
 東屋に到着した楓先生が、秋斗さんの頭へ手刀を振り下ろす。それはもう、手加減など一切なしに……。
「おっす、今日はまたかわいい格好してんな」
 昇さんに声をかけられ、なんと言葉を返そうか悩む。
 目の前に立つ昇さんはどこからどう見ても格好いい人なのに、どうも和服姿に違和感を覚える。病院で会うときがいつも術着姿だからだろうか。でも、それを言うなら楓先生も同じだし……。
「黙るな黙るな、どうせこの格好が似合わないっていうんだろ?」
 その言葉を聞いて、ポン、と手を打ちそうになる。
「……ほかの人にも言われたんですか?」
「まぁな。洋服のほうが似合う的なことは毎年言われてるさ」
 良かった……そう思ったのが私だけじゃなくて。
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