光のもとでⅡ
「振袖姿のリィ、すっごくかわいかったからね~。普段はしないメイクまでしてたし。それがきっかけなんじゃない?」
「なるほどねぇ……」
 好きで付き合っているわけだから、司がそういう目で翠葉を見るのはごく自然なことだ。でも、どうして距離を置くことになるのか――好きなら側にいたいと思うのが普通だと思うし、手をつないでいたい、というのが本音ではないだろうか。
「なぁ、唯……意識したりムラムラすると、側にいられないもの?」
「時と場合によるんじゃん? ま、司っちがどの程度ムラムラしてるのかにもよると思うけど……。俺はかなりムラムラしていた人なので、セリに会いに行けなくなった口。そういう意味では司っちの気持ち、わからなくもないよ。側にいたいけど、好きな女を自分が壊しちゃいそうだから距離を置く。そういうのはわからなくない」
 唯の言葉を受け、自分に置き換えて考えてみる。
 桃華に触れたくて触れられないとしたら、自分も桃華と距離を置こうとするだろうか。
 現時点では抱きしめたりキスをする関係だけど、いつまでこの状況が続くのか――。
 肉体関係を持ちたくないといったら嘘になる。でも、今すぐ求めようとは思わない。それは、桃華の社会的立場を考慮するから。
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