光のもとでⅡ
「意図して避けてた……というか――」
 行動は共にしていたわけだから、俗に言う「避けていた」というのとは少し異なる。ただ、手をつないだり、隣に座って腕や肩が触れたり――そういう状況からは逃げていたし、常に距離を取るようにしていた。
 もし、俺が誰かに相談していたら、人はなんと答えただろう。
 ――「好きな者同士が付き合っているのだから、踏まえるところさえ踏まえていれば問題はない」。
 自分に都合のいい言葉だけを並べてみても、すぐに打ち消し線が入る。相手が翠ならその限りではない、と。
 初めての感情に戸惑うというよりは、未だ男性恐怖症の気がある翠を相手にすることに戸惑いがあった。
「避けてたっていうのは……」
 翠の声を聞いて意識を戻す。
「手――つないでもすぐに離されちゃうのとか、隣に座ってもすぐに席を立たれちゃうのとか……そういうこと?」
 不安そうに訊かれた。
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