光のもとでⅡ
 通話を切って呆然としていた。
 どうしてこの電話に出ちゃったのかな。あのまま出ずにお風呂に入っていたことにしたらどうなっていたのか……。
「……携帯がつながらなければ、直接ゲストルームに来たよね」
 選択肢を変えたところで数十分後の未来は変わりそうにない。
 ゆっくり髪の毛を乾かしフロランタンを切り分けても二十分ちょっと。ラッピングをしても三十分。
 三十分しか猶予はない。
 どうしてかな……好きなのに会うのが怖い。
 ……違うな。好きだから会うのが怖い。会って何を言われるのかが怖い。
 ――「翠葉のことを嫌いになったのなら、付き合っているっていう状況は早期に解消すると思う」。
 蒼兄の言葉がリフレインする。
「もう好きじゃないって言われるのかな……」
 それとも、「別れて」と言われるのだろうか。
 キリキリと胃が痛む思いで髪の毛を乾かし、なるべくゆっくり切り分け作業をして、不必要なほど丁寧にラッピングを施した。
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