光のもとでⅡ
「ぱっと見はなんの変化もないんです。でも、よくよく見ているとよそよそしいというか……」
 どうやら、生徒会の集まりでは普通に接しているらしいが、ふたりになると急によそよそしくなるのだという。
「でも、司がよそよそしいのなんて想像できないんだけど……」
 司は人に自分の感情を悟られるのを苦手とするタイプだ。その司が、あからさまな態度を取るとは思えない。
「蒼樹さん、そこがポイントなんです」
「え、どこ……?」
「あの男がよそよそしいところを人に見せないっていうところ。絶対に自分の弱みを人に見せたくない人間でしょう?」
 桃華が何を言おうとしているのか、ちょっとわかりかねた。
「あの男、今までなら周りを気にせず翠葉のことをかまっていたのに、この二週間は素っ気無いくらい」
 それはつまり……。
「翠葉をかまっていないこと自体がおかしいってこと?」
「当たりです。翠葉もあの男も、もともと言葉数が多いほうではないんですけど、最近は異常です。全く会話がないか、翠葉が一方的に話しかけるばかりで、藤宮司は必要最低限の返事をする程度。そんな対応をしているのは自分なのに、自分以外の男子が翠葉に話しかけようものならどす黒いオーラ発して、ばっかじゃないかと……」
 桃華はかなりご立腹のようだ。
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