光のもとでⅡ
 駅に着いたのは四十五分。バスターミナルフロアの上に時計台広場がある。
 まだ少し早いけど、あちこちにベンチもあるから座って待っていればいいだろう。
 エスカレータで広場へ上がり、時計台近くのベンチを目指す。と――。
「……どうしているの?」
 遠目だけれど間違いようがない。ツカサが時計台の下で本を読んで立っていた。
 時計台の時計に加え自分の時計を確認したけれど、どこからどう見ても四十七分だ。
 私は慌てて時計台まで駆け寄った。私に気づいたツカサは顔を上げ、
「走るな」
「だって、ツカサがいるからっ」
「待ち合わせしてるんだからいるのが普通じゃない?」
「でもっ、まだ四十七分っ」
 ツカサは一度腕時計に視線を落としたけれど、
「少なくても、翠が走っていい理由にはならないと思うけど」
「……ごめんなさい」
 ツカサは本を閉じ、肩にかけていた皮製の黒いトートバッグにしまった。
 ツカサの今日の格好は、いつもと変わらない細身の黒いパンツにサックスブルーのボタンダウンシャツ。エンジと白の細いストライプが入っていてスタイリッシュに見える。靴はグレーのスニーカー。
 それらを見て少しほっとした。
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