光のもとでⅡ
「樹木医について修行したこと、グリーンコーディネーターの会社に入って身に付けたもの。それらのノウハウを生かして家づくりに携わりたい。ほら、過去に建築学科を受ける程度には、俺の関心が建築へ向いていた時期もあるんだよね。結局その道には進まなかったけど、蒼樹がその道に進んだでしょ? だから、いつか蒼樹が建てる家のグリーンコーディネーターになれたらいいな、とか。ちょっとした野望を抱いてる。そのうち蒼樹や零樹さんにプレゼンして自分を売り込む予定」
 満面の笑みで今後の野望を聞かされた私は、ちょっとびっくりしていた。
「翠葉ちゃん、夢は描くものだよ。未来のビジョンは自分で作るものだ」
 そこまで言うと、高崎さんはテーブルに置かれた三枚のメモ用紙を私に向けた。
「これらの勉強をしたらどういう職業に就けるのかをまず考えてみたらどう?」
 音大なら――学校の先生、ピアノ講師、ハープ講師、演奏家。カメラはカメラマン以外に何があるのだろう。アシスタントくらいしか思いつかない。植物の園芸学科を卒業したら――今聞いたばかりの高崎さんの野望に心が傾く。
 それらを紙に書き出していくと、
「一番選択肢が多いのは音楽みたいだね。次はどのくらい専門的な技術や知識が必要になるのかを考えてみたら?」
 専門的な技術や知識……。
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