光のもとでⅡ
「……大丈夫なの?」
 これは手をつなぐことに対して言われているのだろう。
「……きっと、大丈夫。……うん、大丈夫だから、ツカサは捕獲班に戻って?」
 ツカサは私を気にしながら校舎へと向かって走りだした。

 風間先輩まであと数歩というところで、
「御園生さんも捕まったかー。運動部のやつら本気で追いかけてくんの、あれどうなのよ」
 先輩は汗をかきつつ、顔をくしゃくしゃにして笑っていた。
「あ……これ、手つながなくちゃだけど……大丈夫?」
 表情を改めた先輩は、心配そうな顔をしている。
「……基本的には苦手です。でも、克服したいなとは思っているので――」
 私は自分から手を差し出し、風間先輩の手を取る。と、風間先輩はぽかんとした顔でつながれた手を見ていた。
「風間先輩は知らない人じゃないし、怖い人でもない――だから、大丈夫なはずなんです」
 口にすることで、先入観を追い払う。
「……ってことはさ、紅葉祭のときは多少なりとも俺を怖いと思ってたの?」
 たぶんそれは違う。
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