光のもとでⅡ
 夏休みに入って最初の日曜日――佐野くんの口添えもあり、支倉にある天川ミュージックスクールを尋ねることになった。
 支倉駅は、白野へ行くときに中継点として降りたことがあるけれど、改札口を出るのは初めて。
 ドキドキしながら改札階へ上がると、改札の脇に佐野くんが立っているのが見えた。
 一緒にいる背の低い女の子が柊ちゃんで、背の高い男子が聖くんなのだろう。私に気づくと、三人は大きく手を振ってくれた。
 小走りで改札口を出ると、
「初めましてー! 天川柊(あまかわひいらぎ)ですっ! こっちが――」
「双子の兄の聖(ひじり)です!」
「初めまして、御園生翠葉です。今日はよろしくお願いします」
「うんうん、任せて!」
 柊ちゃん胸を叩いて盛大に咽た。
「大丈夫……?」
「大丈夫っ!」
 その言葉を聞いて佐野くんを振り返り、
「佐野くん、ごめんね? 部活がお休みの日にわざわざ付き合ってもらって……」
「かまわないって。俺も聖たちと会うの久しぶりだし。御園生が話を聞いている間は教室の上、聖たちの家にいるから気にしなくていいよ」
「ありがとう」
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