光のもとでⅡ
「ハチミツ、どれにする?」
 柊ちゃんはハチミツばかりが入れてある籠をカウンターに出してくれた。
「これはれんげのハチミツで、これはミカンのハチミツ。アカシア、クローバー、藤、たんぽぽ。ラベンダーもあるよ」
 ハチミツの入った瓶が丸かったり多角形だったり、見ているだけで飽きない。さらに、ハチミツは透明度の高いものから不透明なものまで多岐にわたる。色がきれいなのはアカシアのハチミツだけれど、私が気になったのは藤のハチミツ。
 藤のハチミツも、アカシアのハチミツほどではないものの、透明度が高い。
「あの、これ……藤のハチミツが食べてみたいです」
「……敬語?」
 下から柊ちゃんに見上げられて、
「あっ、あのっ……今のは意識していたわけじゃなくて、その……なんていうか、藤のハチミツを食べたいって言うのが少し恥ずかしくて、紛らわすために敬語になっちゃったというか……」
 あたふた説明をすると、
「なんたって藤宮の生徒だもんね? 藤つながりで気になった?」
 にこにこと笑う柊ちゃんに、私はコクコクと頷いた。
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