光のもとでⅡ
「あの、私何も用意していなくて――」
 慌てて口にすると、雅さんはクスクスと声を立てて笑った。
「私がプレゼントしたくて用意したの。気にしないで?」
「でも、こんなにたくさん……」
 やっぱり、藤宮の人はプレゼントは複数以上という暗黙のルールがある気がしてならない。
 そんなことを考えていると、
「喜んでもらえると嬉しいのだけど、やっぱり押し付けがましいかしら……?」
「押し付けがましいだなんて、そんなふうには思っていません。でも……」
「私ね、誰かにプレゼントやお土産を買うということを長いことしていなかったの。祖父が健在のときにはそういうこともあったのだけれど……。両親とはうまくいっていなかったし、お手伝いさんたちに買って帰っても恐縮されてしまって、心から喜んでもらえていたかは不明だわ」
 そんな話を聞いてしまうと何も言えなくなってしまう。
「今回帰国するにあたって、翠葉さんや元おじい様にお土産を買うのはとても楽しかったわ。今のところ、静さんと会社の人たちには喜んでもらえたのだけど……」
「元おじい様には……?」
「まだお会いしていないの。明日、午前中にお時間をいただいているからそのときに」
「元おじい様なら喜んでくださいますっ」
「そうだと嬉しい。でも、翠葉さんは……?」
 うかがうように視線を向けられ、私は苦笑を返した。
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