光のもとでⅡ
「今までのこと、許してほしいのだけど……許してもらえる?」
 不安そうに揺れる瞳が俺を見つめていた。
 翠は翠なりに悪いことをしていた、と思っているのだ。でも、俺はあまり悪いことをされたという印象はない。
 なぜなら、翠が俺たちの間で揺れていようが揺れていまいが、俺が秋兄に嫉妬する理由は別に存在するわけだから。
 許すとも許さないとも言いかねて、「受け入れる」という意味で翠を引き寄せた。
「ごめんなさい。でも、もう大丈夫だから……。ぐらぐら揺れたりしないから」
 懇願しているような様に俺が言えることはひとつくらい。
「もし、翠が自分を信じきれないなら、俺が信じる。だから、自分の気持ちに自信が持てないとか言うな」
「……ツカサが信じてくれるの?」
 腕の中で翠が俺を見上げる。
 このアングルで翠を見るとキスをしたくなる。そんな気持ちを抑えつつ、
「それで翠の気持ちが揺れないなら」
「……嬉しい」
 翠は嬉しそうに微笑み、
「ツカサが信じてくれるなら、どんなことでもがんばれそう」
 言って、ぎゅっと抱きついてきた。
 これ、殺し文句って言わないか……? さらにはこんな状況で抱きつかれたら男の自分が刺激されないわけがない。
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