光のもとでⅡ
「大きな金はすでに動かした。あとは小さな金額の追加申請しか上がってこない。それらを滞りなく入金するほか、組間で行われる金銭取引を明確にすべく収支報告の計上。それがダイレクトに加点減点につながる」
 ツカサの視線がこちらを向くと同時、
「翠葉ちゃん、大丈夫かな?」
 優太先輩に声をかけられ、「がんばります」とだけ答えた。
 今回も、前回と同じように仕事を私に振ってもらえたのだ。
 なぜなら、運動ができない私はいくつかの競技にしか出ない都合上、組で行われる練習に拘束されることが少ないため、誰よりも自由に動けるから。
「ここまで手放しなのは申し訳ないと思うけど、やっぱ助かるよね」
 優太先輩の言葉に頷いたのはツカサのみ。飛翔くんはどこか面白くなさそうな顔をしていた。
「それに、ずっとってわけじゃないけど、ほとんどの時間を翠葉ちゃんが本部にいてくれるから、引継ぎも最低限で済むし。翠葉ちゃんは何に出るんだっけ?」
「一日目は綱引きと色別パレードと応援合戦。二日目はダンスのワルツと玉入れです」
 綱引きは走ったりするわけではないので参加することができる。そして、色別パレードも応援合戦も同じく。ダンスにおいては、私が参加できるように、とテンポの遅いワルツが選曲されていた。
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