光のもとでⅡ
「御園生さん、本当のところを教えて」
「……ちょっと、つらいです」
「うん。それ、ちょっとじゃないでしょ?」
 その言葉に何も言えず、目に涙が溜まり始める。と、風間先輩の手が頭に乗せられた。
「よしよし、がんばってたね。でも、このまま進めるのには問題あると思うんだ。だから、どうしたらいいか考えよう?」
 風間先輩は二メートルほど離れた場所にいた飛翔くんを呼び寄せた。
「やっぱ御園生さん、結構いっぱいいっぱいみたい」
「……でしょうね。会計の仕事をひとりでこなしてるうえ、衣装作りもあるわけですから」
「その会計の仕事ってどうしてそんなことになってるのさ」
 その質問に飛翔くんは口を閉ざした。
 飛翔くんは、私が会計を担ういきさつや現状を良くは思っていないのだ。
 私はおずおずと申し出る。
「あの、それも私がいけないというか……」
「ん?」
「去年の紅葉祭のとき、私が生徒会できちんと機能するための規約が作られたんです」
 それらのいきさつを話すと、
「なるほど……それに加えて、今回は出る競技種目が少ない御園生さんに大半が振られてたわけね」
 そう言ってくれた風間先輩に対し飛翔くんは、
「紅葉祭や紫苑祭における会計は確かに大変です。でも、手分けしてやれるなら、別にひとりが負う必要はないはずなんですけど……」
 明らかに不服だと言われている。
「それらひとりで請け負って、挙句体調崩してるんじゃどこになんの意味があるんだか……」
 言っていることが正しすぎて何を言うこともできない。
 どうにかしてすべてのことをクリアしなくては――。
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