光のもとでⅡ
「翠葉には悪いけど、姫と王子の出し物って、つまりは姫と王子が生贄になる、っていうイベントなのよ。だから、それに準ずるイベントよ」
 簾条が向こうにいるからといって油断することができないことは去年の紅葉祭で学んだ。今度はいったい何を企んでいる……?
 先を続けろ、という視線を朝陽に向けると、
「何をやるかというというならムカデ競争。各組男女別に三グループずつ形成して計六グループ。このグループでリレーをしてもらう。で、順位に応じてポイントを加算。また、優勝した組にはご褒美が用意されている」
「ご褒美」という言葉を聞いた瞬間、盛大なため息をつきたくなった。
 正直聞きたくはない。知りたくもないが訊かないことには話が進まない。
「褒美って……?」
 嫌々尋ねると、
「勝った組の人間を抽選で三人選んで、当選者には姫または王子と一緒にお弁当を食べられる権利を発行。それから、全校生徒へ発行するものとして、姫のチア姿、王子の長ラン姿のスチル写真をデジタルアルバムに収録することが決まってる」
「やですっ」
「ごめん被る」
 翠と俺はほぼ同時に口にしたが、
「おふたりさん、ごめんね? これ、もう決定事項だから」
 優太はそそくさと競技種目が印刷されたプリントを俺たちの前に差し出した。
 手書きじゃない――イコール、すでに決定事項、各所へ通達済み……。
「基本、姫と王子の出し物って全校生徒に還元されることが前提だし、写真以外に何か案があるなら聞くけど? 正直、前回の紅葉祭よりはいいと思うし、前回の紅葉祭並みに全校生徒に還元できる出し物があるなら提案してくれてかまわないよ? 全校生徒に還元する、という意味で、写真撮影とライブステージを比べれば、写真撮影のほうが企画価値は低いよね。それゆえ、抽選で選ばれた人のみにお弁当タイムを付加したんだけど」
 長々と語る朝陽は笑顔を崩さない。
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